1対1の引き上げシステム(大阪労山方式)



2人パーティで登攀中に、セカンドが落石を受け動けなくなった場合などを想定。
かつ、近くには他のパーティなどもいなくて、安全なところに事故者を連れて行く
のには、引き下ろすよりも、引き上げた方がいい場合を想定している。

原理としては、引き上げ者の体重を利用したカウンター方式である。
通常のカウンター方式では、3人パーティにおいて、1人が事故者、1人が引き上げ、
そして残りの1人は事故者につながっているザイルの反対側に固定され、事故者を
引き上げる場合のカウンター(重し)となる。そして、原理的には、引き上げする人は、
事故者とカウンターとなっている人の体重差だけを引き上げれば、直接事故者を
引き上げるよりもはるかに軽い力で、事故者を引き上げることができるというものである。

今回デモンストレーションをおこなった、「1対1の引き上げシステム」は、カウンターと
なっている人に当たるところに、引き上げ者自身をセットして、1人で1人を
引き上げる方法である。

セッティング方法は、
1)上部支点にプーリーと事故者につながっているロープをセットする。
2)引き上げたロープが逆戻りしないように、戻り防止のユマールをセットする。
3)事故者のロープと反対側にユマールを上向きにセットして、引き上げ者のハーネスに固定。
4)上部支点から、引き上げ者用のセルフビレイを長く取っておく。
5)事故者側のロープに、ユマールを下向きにセット。これは引き上げ用の引き手となる。

実際に引き上げる方法としては、自分の全体重をロープにかけ、事故者側のロープに固定された
ユマールを引き上げる。

うまく引き上げるワンポイントアドバイスとしては、十分の体重を効率よく使うと言うことである。
たとえば、足下のテラスがしっかりしている場合、どうしても足をついてしまい、自分の全体重をロープに
かけることができなくなることがある。なるべく空中に浮いて、事故者側のロープを
引き上げるのがよい。
できれば、上記の写真のように、逆さを向いて、全体重を預け、下方に向かって逆ユマールをするのがよい。

以上
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